西塩子の回り舞台保存会のあゆみ




・「西塩子の回り舞台」復元への動きと住民の意識の変化


 平成三年度の調査の結果、貴重な文化財であることが判明した「西塩子の回り舞台」を保存してゆくために、平成六年「西塩子の回り舞台保存会」が設立されました。これは西塩子区全世帯が会員となって作られたもので、規約の中には目的や事業として「舞台の復元」と「組立方法の習得と伝承」も掲げられていました。


 ところが、組立てを行っていた世代の人々はすでに世を去り、手順や方法は全くの手探り状態、その上、経費や労働の負担をどうするかで会議はいつも紛糾し、「なぜ自分たちが今さら歌舞伎舞台なんか復活しなければならないのか」と、舞台組立ての実現は暗礁に乗り上げたかに見えました。


 しかし、東京都あきる野市の菅生組立舞台保存会の好意で組立ての様子を見学したり、全国地芝居サミットに参加して地芝居に関わる人々と交流を持つなどするうちに、子どもたちや自分たちが胸を張ってふるさとを誇れるものとして、先祖が遺してくれた「西塩子の回り舞台」を復活し、これを地域再生につなげよう、と人々の意識も変ってゆきました。












・「西塩子の回り舞台」の完全復活

 調査から五年を経過した平成九年十月、試行錯誤の末「西塩子の回り舞台」は約半世紀ぶりに復元され、わずか二時間ほどの公演に三千人もの見物客が詰め掛けました。翌年秋には、完全復活と銘打って再度の組立てを行い、併せて第九回全国地芝居サミットを開催して、全国から集まった地芝居関係者に自慢の美しい組立式舞台を披露しました。


 その後は、定期公演として原則として三年に一度、舞台の組立てと地芝居公演を行って現在に至っております。これまでの活動が高く評価され、数多くの賞をいただいたことは、多くの皆さんのご指導とご協力の賜物。心より厚く感謝申し上げます。









・「西塩子の回り舞台」の今とこれから

 現在は、「復活」より「継続」はもっと難しい、と痛感しております。「西塩子の回り舞台」が、地域にとってなくてはならない存在に位置付けられる、新たな目標を探し続けなければなりません。









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コメント

  1. すばらしい!

    現在では茨城で唯一の地芝居といってよいですよね。
    私は学生時代に大鹿村や小鹿野町、あきる野市に地芝居を見に行き、卒業論文を書きました。

    茨城ではこういった土地に根差した伝統文化というものは希少であると思います(今私は笠間市で「地域おこし協力隊」というものをやっております)。

    公演日に予定が合わせられず、見にいかれないことが残念でなりません。
    昔は季節ごとに上演していたのでしょうか。そうならば、再び四季折々の自然を感じられるような公演が増えれば(しかも土地の美味しい食材でお弁当を食べながら鑑賞できれば)とても嬉しいな、と思います。

    継続は困難なこともあるとは思いますが、ぜひがんばってください。
    今度、上演日でなくとも舞台を拝見したいと思います。





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